youngangelのブログ

まだ生きてるずっと生きてる

2023-2-10

嘘をついたことがある。

もうすごく小さい時の思い出で、記憶がスカスカになっているが、私は覚えている。

私の母親は買い物に行くと、私と弟をレジの列に並ばせたまま、なにか別の商品を取りに行くことがしょっちゅうだった。

それは幼稚園児の頃からあったのではないかと思う。

カゴに入った卵を落とさないように見守るのが、私たちの役目だった。

ある日、私と弟が列に並んでいると、すごく疲れた顔をしたサラリーマンの人が後ろに並んだ。あんまりにも疲れた顔をしていたから、早くレジを終わらせてほしくて、私たちはちょっと話し合いをした。そして、小学校低学年の頭で考えて出た言葉は、「先どうぞ!私たちまだレジできなさそうなので!」だった。

そのサラリーマンの人の、びっくりした顔と、笑顔の「ありがとう。」って言葉が、いつでも思い出せる。私と弟はお互いに顔を見合せて笑った。「ちょっといいこと出来たね。」と。

今考えると、どんな記憶なんだ?と思うが、私はその思い出をたまに思い出す。

最初の方は、「私はなんていいことをしたんだ…。」という優越感に浸っていた。だけど最近思う。とても悲しくはないだろうか。こんな見ず知らずの人の顔色も伺うような家庭環境にいたことが、とても悲しい。

でも、あのお兄さんが、笑顔でありがとうと言ってくれたから、私の中ではいい思い出になっている。